【岡山】桃太郎伝説の地・鬼ノ城へ|鬼は本当に「悪」だったのか

  • URLをコピーしました!

情緒あふれる観光名所の倉敷をはじめ、桃やぶどうなどのフルーツが有名な岡山県。

その中でも、歴史書にまったく記載がなく、謎に包まれた古代の山城がある。

それが「鬼ノ城」だ

この城には、温羅(うら)という鬼が住んでいて、吉備津彦命(きびつひこ)が鬼退治をした伝説の舞台となっている。

諸説あるものの、桃太郎伝説のルーツの1つだ。

そんな桃太郎伝説の発祥の地へ向かったのは、2025年のなんだか肌寒い日が続く5月初めだった。

目次

鬼ノ城のはじまりは大和王朝時代

参照:神武天皇と八咫烏の肖像 月岡芳年|Wikipedia

大和王朝時代――、おおよそ3〜7世紀ごろ。

神話と現実が、まだはっきり線引きされていなかった時代。

「古事記」や「日本書紀」に登場する人物たちは、実在と架空のあいだを、あいまいに行き来している。

この時代に、なぜか文献に一切登場しない城が築かれた。それが、鬼ノ城だ。

作った理由も、使われていた期間も、はっきりしたことはわかっていない。

わかっているのは、かなり大がかりな国家プロジェクトだったらしい、ということだけだ。

鬼ノ城は吉備の穴海を見張る防衛拠点

復元された鬼ノ城の西門|PIC RUITO NITTA

鬼ノ城は、大和朝廷が国の守りを固めるための国家事業の1つとして建てられた

標高397メートル。
山をぐるりと囲む城壁。
敷地面積はおよそ30ヘクタール。

東京ディズニーランドの6割ほど、東京ドームにすると約6.4個分。

……と数字で説明されても、正直ピンとこない。

要するに、とんでもなくデカい。

内部からは、倉庫や水場、のろし台、鍛冶工房などが見つかっている。

個人的には、かつてこの一帯に広がっていた「吉備の穴海」を見下ろす監視塔の役目があったのだろうと予測している。

岡山平野はかつて海だった|IMG RUITO NITTA

ちなみに、吉備の穴海は時とともに砂が溜まって平野となり、塩分に強い綿やイグサの栽培地になったことで、倉敷の繊維産業の発展にも貢献している(倉敷デニムなど)。

桃太郎伝説のモデルとなった「温羅」とは

鬼城山ビジターセンター内|PIC RUITO NITTA

吉備地方を支配していたとされる温羅は”異国の王子”で、その姿は巨人で髪や髭が赤く、両目は虎や狼のように光っていたと伝えられている。

赤髪で、光る眼…?

どう考えても、遺伝子的に赤毛・碧眼が多い「アイルランド」「スコットランド」「ブリトン(ケルト)」「ヴァイキング(ノルマン)」あたりの人種では?!

AI生成した赤髪碧眼スコットランド風人物|IMG RUITO NITTA

いや、絶対そうじゃん!

しかし、大和朝廷時代にブリトン(ケルト)やヴァイキングが日本に到達したという確かな証拠は存在しない。

また、ヴァイキングが覇権を握っていたのは約8〜11世紀ごろまで。大和王朝が約3〜7世紀ごろ、吉備津彦命は約4世紀ごろのお方……微妙に時代が合わない。

ただ、ヴァイキングと決めれば話がおかしくなるものの、3〜5世紀ごろのピクト人やブリトン人(ケルト)だと考えればいい。

5世紀ごろにはイングランドやアイルランドから島を渡ってユーラシア大陸に来ていた証拠もある

2経路の仮説の図|IMG RUITO NITTA

このことから、ローマやペルシャ、中国を結んだ交易路「シルクロード」を通って陸路でやってきていた可能性は十分考えられるだろう。

ほかにも、ロシアを横断してシベリア経由での接触も考えられるかもしれない(アイヌ文化と北方民族の類似性もある)。

まったく馴染みのない異国人を見れば、当時の人には”鬼”として映ったのだ……。

そして、異端を排除するためか、はたまた本当に温羅が悪さをしていたのかは定かでないが、吉備津彦命に退治されてしまうのである。

この鬼退治が、かの有名な桃太郎伝説として脈々と語り継がれているのだ

鬼ノ城の現地に立っている看板に、おもしろいYouTube動画へのQRコードがあったので、下記に紹介しておく。

※音が大きめなので注意

日本遺産の看板|PIC RUITO NITTA

桃太郎と鬼には「吉備津彦神社」で会える

吉備津彦神社境内のマンホール|PIC RUITO NITTA

吉備津彦命をご祭神とする「吉備津彦神社」には、温羅を祀った「温羅神社」がある。

稲荷神社へ続く鳥居を越えた場所|PIC RUITO NITTA
ひっそりとある温羅神社|PIC RUITO NITTA

神道によれば、神の魂は「和魂(にぎみたま)」と「荒魂(あらみたま)」の2つに分類され、和魂は温和で、荒魂は荒々しい勇猛さを表す。

この吉備津彦神社には、和魂の方が祀られている。

ちなみに、この鳥居をくぐり終えたくらいから神域感(空気がピンと張りつめて少し冷たく、神聖さが充満しているような雰囲気)を感じれた。

また、あまり知られていないが、岡山県岡山市北区首部にある白山神社には「温羅の首塚」も存在する。地名の「首部」はまさに首塚から。

伝説では、首塚からずっと唸り声が聞こえていたため、埋める場所を吉備津彦神社の敷地内にある御竃殿の下へ移したが、やはりうなり声は止まず周辺に13年以上も鳴り響いたようだ。

この地鳴りのような音は、吉兆を占う「鳴釜神事」の元となっている。

まとめ

総社市を一望|PIC RUITO NITTA

伝説の鬼”温羅”と、鬼を討った”吉備津彦命”の物語の地、鬼ノ城。

首塚がある白山神社の説明書には「温羅は心優しき青年で、住民たちからは慕われていた」と書き記されている。

桃太郎伝説は、岡山県以外にも、香川県高松、山梨県大月市、愛知県犬山市など各地に存在している。

ただ、今回訪れた「鬼ノ城」は、昔の人が異人や異端として対峙した「鬼」がしっかり存在していたような痕跡を感じられた

もうすぐお盆休み。
この機会に鬼が住んだといわれる「鬼ノ城」にいってみてはいかがだろうか。

Please share
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次