2025年ノーベル物理学賞に物理学研究所(IOP)の研究員3名受賞|肉眼で観測可能な量子力学の性質を発表

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2025年10月7日にスウェーデン・ストックホルムの王立スウェーデン科学アカデミーで行われたノーベル物理学賞の受賞イベントにて、物理学研究所(IOP)の特別研究員、ジョン・クラーク氏、ミシェル・デヴォレ氏、ジョン・マルティニス氏の3人が2025年のノーベル物理学賞を受賞した。

今年はユネスコが定めた「国際量子科学技術年」であり、この受賞は特に意味のある出来事となった。

「International Year of Quantum Science and Technology(国際量子科学技術年)」は、UNESCOが2025年に指定した、量子科学と量子技術の進展を世界的に紹介・推進する1年間のこと。

3人は1980年代にアメリカで共同研究を行い、量子粒子が物質を通り抜ける仕組みを明らかにした。この発見は、量子コンピューターなどに使われる超伝導量子技術の発展につながったとされる

クラーク教授は「まさか自分の研究がノーベル賞につながるとは思っていなかった。人生で一番の驚きです」と語り、研究を支えた多くの人々への感謝の気持ちを述べた。

壁にボールを投げれば、必ず跳ね返ってくる。だが、もしボールが突然、壁の向こう側に通り抜けたら驚く。これは量子力学が奇妙で直感に反するとして評判になった現象だ(ノーベル財団提供)

物理学研究所のトム・グリニエCEOは、「国際量子年にこの成果が評価されたことをうれしく思う。当研究所の研究者たちが世界的に認められたことを誇りに思う」とコメントし、デヴォレ氏とマルティニス氏の功績をたたえた。

レバーがオフのままでも、量子の影響で突然オンになる現象を、マクロスコピック量子トンネル効果という(ノーベル財団提供)

また、英国の量子研究の第一人者であるサー・ピーター・ナイトFRS HonFInstP氏は、「3人の研究は量子トンネル効果やエネルギーの量子化を解き明かし、量子科学の新たな可能性を開いた」と語った。

実験に使った装置。超電導のチップによりトンネル効果や量子エネルギーを実証した(ノーベル財団提供)

彼らの研究は、量子の世界をより深く理解する手がかりとなり、量子コンピューターやセンサー、通信技術など未来の発展を支える基礎を築いた。

IOP出版のアントニア・シーモアCEOは、「ノーベル賞は世界中の科学者の努力を称える機会です。受賞者の研究を出版できたことを誇りに思う」と述べ、3人の成果をたたえた。

参照:International Year of Quantum Science and Technology
プレスリリース:2025年ノーベル物理学賞 – NobelPrize.org

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