新篠津村は面積の半分以上を水田が占め、標高差がほとんどない地形と視界を遮る高い建物のない環境を活かし、「空のまち」を掲げた観光と地域ブランディングに取り組んでいる。
この独自の取り組みが評価され、環境省主催の第37回「星空の街・あおぞらの街」全国協議会で市町村単独として初の協議会会長賞を受賞した。

1979年に始まった「新しのつ青空まつり」を皮切りに、1986年のグライダー滑空場の完成、2021年の天灯祭りや星座観測場の設置、2023年の天文台の稼働など、長年にわたり「空」を活かした地域資源の創出と継続的なイベント開催が村の魅力を高めてきた。
2023年に誕生した「しんしのつ天文台」は、視界を広く確保できる地形を活かした全国でも珍しいフルオープン式の施設で、50cmカセグレン式反射望遠鏡を備える。

建物の壁と屋根がスライドして開放されることで、全方位に広がる星空を臨場感たっぷりに観測できるのが特徴である。天体観測時には講師がレーザーポインターや大型モニターを用い、観測対象をわかりやすく解説する仕組みを整えており、訪れる人に宇宙を身近に感じさせる体験を提供している。
また、地域住民の協力により街灯を調整する仕組みを導入し、光環境の整備も徹底。2025年には太陽望遠鏡を追加し、昼夜を問わず観測が可能となった。
さらに、新篠津天灯祭りや青空まつり、グライダー滑空場など、空を象徴する催しが多数開催されており、地域の伝統と観光の両面で賑わいを見せている。












